「うちは仏教だけど、宗派まではよく分からない…」
そんな声をよく聞きます。
日本には多くの仏教の宗派があり、それぞれに特徴があります。葬儀や法事などの場面で「宗派によってやり方が違う」ことを初めて知る方も多いのではないでしょうか?
今回は、特に日本で代表的な「浄土真宗」と「曹洞宗」を中心に、仏教の宗派の違いをわかりやすくご紹介します。
ちょっと偏見じゃない?とか思われる方、もしくはご寺院様がいらっしゃったらすみません。
私自身、葬儀関係で勤めさせていただいて、割合的に多かったものにもなります。
地域性もありますので、そちらもご了承ください。
そもそも「宗派」とは?
宗派とは、同じ仏教の教えを信じていても、「どう修行するか」「何を大切にするか」といった考え方や実践の違いで分かれたグループのことです。
日本の仏教宗派は大きく分けて以下のように分類されます:
- 禅宗系:自分自身の修行や悟りを重視(例:曹洞宗、臨済宗)
- 浄土系:阿弥陀仏の力にすがって極楽浄土へ往生することを重視(例:浄土宗、浄土真宗)
- 天台宗や真言宗:密教や仏教哲学を重視
- 日蓮宗:法華経を絶対とする教え
浄土真宗の特徴
● 教えのポイント
「阿弥陀仏を信じ、南無阿弥陀仏と唱えることで救われる」という“他力本願”の考え方が中心です。
● 宗祖
親鸞(しんらん)聖人(1173〜1262)
● 特徴
- 念仏を唱えることが重視される(南無阿弥陀仏)
- 自分の努力よりも、仏さまの力(他力)による救いを信じる
- 位牌を持たないことが多い(本願寺派の場合)
- 葬儀でも「引導(いんどう)」という言葉は使わない
● 本山
- 西本願寺(本願寺派)
- 東本願寺(大谷派)
曹洞宗の特徴
● 教えのポイント
「只管打坐(しかんたざ)」と呼ばれる、ただひたすらに座禅することを大切にする禅宗です。日常生活の中で“悟り”を得ることを重視します。
● 宗祖
道元(どうげん)禅師(1200〜1253)
● 特徴
- 座禅によって自己を見つめ、悟りに至る
- 毎日の生活や食事にも修行の意味がある
- 葬儀では引導を渡す儀式が行われる
- 仏壇に「位牌」を置き、先祖を敬う
● 本山
- 永平寺(福井県)
- 総持寺(神奈川県)
浄土真宗と曹洞宗の違いを比較
項目 | 浄土真宗 | 曹洞宗 |
---|---|---|
宗祖 | 親鸞 | 道元 |
教えの核 | 阿弥陀仏の力による救い(他力) | 座禅による自己の修行(自力) |
実践 | 念仏(南無阿弥陀仏)を唱える | 座禅、日々の行動による修行 |
葬儀の特徴 | 位牌を用いない(宗派により異なる) | 位牌を置き、引導を渡す儀式がある |
仏壇 | 本尊は阿弥陀如来 | 本尊は釈迦牟尼仏 |
なぜ宗派を知ることが大切?
葬儀や法要の場面では、宗派によって作法や用語が変わります。たとえば、
- 「焼香の回数」や「念仏の唱え方」
- 「お布施の表書き」
- 「数珠の持ち方」など
間違えると、失礼にあたることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
また、エンディングノートを書く際にも「宗派」は書く項目の一つです。家族が宗派を知らずに困る…ということを防ぐためにも、いま一度確認してみましょう。
宗派にとらわれすぎないことも大切
一方で、現代では「無宗教」や「特定の宗派がない家庭」も増えています。そうした中で、あまりに宗派にこだわりすぎて気疲れしてしまうよりも、「大切なのは故人を思う心」と考える人も多いです。
形式に縛られるより、どう弔い、どう記憶に残すか。自分や家族に合ったスタイルを選ぶ柔軟さも、これからの時代には必要です。
まとめ
浄土真宗と曹洞宗、それぞれの違いは教え方だけでなく、葬儀の作法や仏壇の扱いなどにも表れます。
とはいえ、共通して大切にしているのは「いのちの尊さ」や「先祖を敬う心」です。
形式よりも想いを大事に。
宗派の違いを知っておくことで、より丁寧な供養ができるようになるかもしれません。
ちなみに私自身は浄土真宗の方で、真宗大谷派に属しております。
そちらも改めてブログにさせていただきます。
よかったら、主要7宗派の方もご参考にしてください

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