事前に相談に行ったけど、葬儀社に「これは必要です、これはつけることをお勧めします。」などと言われたことはあるでしょうか?
正直、葬儀の見積もりってわかりづらい部分ってありますよね?
今回は、元葬儀の相談をさせていただいた、私目線で見積もりの見方をお伝えしたいと思います。
当然ではありますが、葬儀社や地域によってあるもの、ないものがありますので事前の見積もりを出されている際はその葬儀社にご質問して下さい。
葬儀の見積もりの見方
葬儀の見積もりには、多くの項目が並んでいます。初めて見る方にとっては「何にこんなにかかるの?」と驚くこともあるかもしれません。
まず大きく分けると、見積書の内容は以下のような項目に分類されます:
- 基本プラン(祭壇・運営費・人件費など)
- オプション費用(遺影写真、供花、湯灌、貸衣装など)
- 実費分(火葬料金、式場使用料、霊柩車など)
- 返礼品や料理
- 宗教者への謝礼(寺院など)※これは別請求の場合も
この中で「基本プラン」に含まれている範囲が葬儀社ごとに異なるため、複数社で比較すると金額に差が出ます。「A社では30万円、B社では50万円」といった違いは、この内訳の取り方の違いによることが多いのです。
葬儀の見積もりはどう分けて見る?5つの費用カテゴリを解説
葬儀の見積もりは一枚の紙にまとまっていますが、内容を分解して見ると、以下のような5つのカテゴリーに分けられます。それぞれが何を意味し、どの程度の費用がかかるのかを知ることで、納得できる葬儀準備に近づきます。
1. 基本プラン(祭壇・運営費・人件費など)
ここが葬儀プランの中心です。
多くの葬儀社では「基本プラン」や「葬儀セット」と呼ばれる項目があり、次のようなものが含まれます:
- 祭壇(白木・生花など、種類によって価格が異なる)
- 葬儀進行の人件費(司会・案内係など)
- 各種備品(焼香台、受付セットなど)
この部分は金額の大部分を占めやすく、パックプランに含まれる範囲も葬儀社によって異なるため、具体的に何が含まれているのかを確認するのが大切です。
2. オプション費用(遺影写真、供花、湯灌、貸衣装など)
選択制の費用です。必要に応じて追加されます。
例えば:
- 遺影写真のサイズ変更や背景加工
- 湯灌(ゆかん:納棺前の洗体儀式)
- 供花・供物の追加(親族や友人からの注文も多い)
- 貸衣装(喪主や親族用)
感情的に「つけた方がいいかな…」と思いやすい部分ですが、本当に必要か、誰のためのものかを見極めましょう。不要な追加で費用が大きく膨らむこともあります。
3. 実費分(火葬料金、式場使用料、霊柩車など)
実際に発生する外部費用で、葬儀社の収益には含まれない部分です。
たとえば:
- 火葬料金:市区町村によって異なる(例:公営斎場は無料〜1万円前後、民営は数万円)
- 式場使用料:自治体の公営斎場や民間ホールなど、立地と施設で幅あり
- 霊柩車・搬送車:距離や車種(洋型霊柩車・バン型など)で変動
この項目は「実費」とされているため、割引の交渉は難しいですが、相場との比較は必要です。
4. 返礼品や料理
参列者に対する“おもてなし費用”です。
- 香典返し:即日返し(会葬礼状+品物)か、後日返し(四十九日後など)かで対応が変わる
- 通夜ぶるまい・精進落とし:料理の品数やランクにより1人あたり数千円〜1万円程度
人数によって大きく金額が上下するため、事前に「どのくらい来るか」の目安をもって準備することが重要です。過剰な料理や返礼品でムダな出費をしない工夫も必要です。
5. 宗教者への謝礼(寺院など)※これは別請求の場合も
お布施や読経料など、宗教儀式に関わる費用です。
- 戒名料(授けられる戒名のランクにより数万円〜数十万円)
- 読経料(通夜・葬儀・初七日など、各法要にかかる)
- 車代や御膳料(お坊さんへの交通費・食事代の意味)
多くの葬儀社ではこの項目は「葬儀社とは別請求」となり、僧侶との直接やり取りが必要です。あらかじめ菩提寺に相談しておくと安心です。
ついてるオプションの意味
見積もりの中には、標準プランに“ついてくる”ものと、“オプションで追加”されているものがあります。中には「これは本当に必要なの?」と思ってしまうような項目も。
たとえば、よく見かけるオプションには以下のようなものがあります:
- 湯灌(ゆかん):ご遺体の清拭や整容を行う儀式。故人を丁寧に送り出すという意味で大切にされる儀式ですが、費用は3〜10万円ほどかかることもあります。
- 供花・供物:祭壇を華やかに飾る生花や果物。見栄えが良くなりますが、故人との関係によっては必要ないケースも。
- メモリアルDVD・アルバム作成:最近では思い出を残す演出も増えています。ただし、家族にとって本当に必要かどうか、慎重に検討しましょう。
- 貸衣装や着付けサービス:喪主や親族が和装を希望する場合のオプションですが、自前で用意することも可能です。
こうしたオプションの意味を理解することで、自分たちにとって本当に必要なものを見極められるようになります。
このオプションは必要?必要じゃない?──見積もりで迷うポイントの見極め方
葬儀の見積もりを見たとき、「これはつけた方がいいの?」「なくても問題ないのでは?」と迷う項目があるかもしれません。ここではよくあるオプションについて、「必要性」と「実際の利用頻度」を踏まえた判断ポイントを紹介します。
湯灌(ゆかん)や納棺式:儀式としての意味と費用のバランス
湯灌は、故人の身体を清め、きれいに整える儀式で、宗教的・文化的に重視される方もいます。ただし、費用は3万円〜10万円以上かかることもあり、金銭的負担は軽くありません。
必要かどうかの判断ポイント:
「立ち会いたくない」「簡易でも構わない」というご家族もいらっしゃいます。
無理に追加せず、気持ちの整理がつく内容にとどめるのも一つの方法です。
地域によってはエンバーミングという方法もあります。
湯灌についてはこちらを参考にして下さい。
遺影写真の加工やサイズアップ:見栄え vs. 実用性
遺影写真は葬儀の際に祭壇に飾られるため、見た目を気にされる方もいます。背景加工、写真修正、フォトスタンドの追加など、こだわると1〜2万円ほど追加になる場合があります。
必要かどうかの判断ポイント:
シンプルなもので十分というご家庭も多いです。費用をかけず、自然な表情の写真を選ぶだけでも満足感は得られます。
貸衣装・メイク:誰のためかを考えて選ぶ
喪主やご遺族が喪服を持っていない場合、葬儀社で貸衣装を手配できます。また、故人へのメイク(エンバーミングではない軽化粧)などのオプションも選べます。
※湯灌をする際は故人のメイクは入ってることが多いです。
必要かどうかの判断ポイント:
一方で、自分で喪服を用意すれば費用を抑えられるため、「一時的に必要なものかどうか」を基準に選びましょう。
供花・供物:気持ちは大切、でも数は調整を
葬儀で祭壇の両脇に飾られる供花や供物。親族や知人が「〇〇家より」と出すケースも多く、葬儀社を通じて発注されることが一般的です。
必要かどうかの判断ポイント:
供花を一対(二本)で注文すると高額になるため、本数とバランスを考えて調整するのが現実的です。無理のない範囲で、気持ちを表せる方法を選びましょう。
まとめ:葬儀のオプションは“気持ちと現実”のバランスで選ぶ
葬儀の見積もりで「これは要る? 要らない?」と迷うのは、当然のことです。感情が動きやすい場面だからこそ、冷静な判断が難しくなる場合もあります。
選び方のポイントは、次の3つです:
大切なのは、「しっかり送ってあげたい」という気持ちを損なわずに、無理のない予算で葬儀を整えることです。
食事関係については続く…
今回少し話が長くなってしまいましたので、食事関係については次でまとめさせていただきました。
よければこちらもご覧ください。
👇【元葬儀ディレクターが語る】葬儀の食事は必要?返礼品とのバランスで後悔しない選択を!
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