葬儀が終わり、香典帳を見ながら「お返しはいつ送ればよいのだろう」「当日に品物を渡した方にも、もう一度必要?」「供花や供物をもらった人にお返しをすべきか」と迷っていませんか。
香典返しは、いただいた心遣いへの感謝を伝えるものです。
仏式では四十九日の忌明け後、金額は香典の3分の1〜半額程度が一般的な目安ですが、
地域や家庭の事情によって変わります。
また、供花や供物については香典を合わせていただいていたら、気持ち上乗せしてお返しする傾向があると見受けられます。
まずは、いただいた金額と、当日すでに渡した香典返しを確認しましょう。
そこから追加の必要性と予算を考えると、二重の手配を防ぎやすくなります。
この記事では、葬儀業界で約10年働き、現在は贈答の仕事に携わるぐれてるが、
時期・金額・当日返し・品物選びを順番に整理します。
香典返しはいつ贈る?まずは時期と準備の順番を確認
仏式では四十九日の忌明け後が一般的な目安
香典返しは、葬儀などで香典をいただいた方へ贈るお礼です。
仏式では、四十九日の忌明け後に、法要を終えた報告と感謝を添えて贈るのが一般的です。
ただし、「この日を過ぎたら失礼」と一日単位で考えすぎる必要はありません。
法要の日程や地域の慣習を確認し、配送日や挨拶状の準備を進めましょう。
時期の基本は、全葬連の香典返しガイドでも説明されています。
神式では五十日祭後を目安にすることがあります。キリスト教では仏式と同じ忌明けの考え方を当てはめず、
教会や家庭の慣習に沿ってお礼の時期を相談してください。
先に名簿を整理すると、注文が進めやすい
- 氏名・住所・いただいた金額を一覧にする。
- 当日渡した香典返しの品物と金額を確認する。
- お返しを辞退された方や、会社名義・連名の方を分ける。
- 追加のお返しが必要な方の予算を決める。
- 品物・かけ紙・挨拶状・配送日を確認して注文する。
いきなり品物を選ぶよりも、贈る相手と予算を整理しておくと、注文のやり直しを減らせます。
住所の読み違いや転居にも注意し、分からない部分だけ家族や本人に確認しましょう。
香典そのものの意味や、受け取った後の記録については、香典は何のために渡す?意味・使い道と辞退されたときの対応で説明しています。

香典返しはいくら?3分の1〜半額を出発点に考える
金額の目安と、高額な香典への対応
一般的には、いただいた香典の3分の1〜半額程度を目安にします。
半額程度のお返しを「半返し」と呼びますが、どの家庭でも半額にそろえなければならないわけではありません。
| いただいた香典 | お返しの目安 |
|---|---|
| 3,000円 | 1,000〜1,500円程度 |
| 5,000円 | 1,700〜2,500円程度 |
| 10,000円 | 3,300〜5,000円程度 |
| 30,000円 | 10,000〜15,000円程度 |
表は3分の1〜半額を概算した目安です。当日返しがある場合は、その分も含めたお礼全体の予算として考えます。
端数まで合わせる必要はありません。送料がかかる場合は、送料を含めた金額で考えることもあります。
親族から高額の香典をいただいた場合は、遺族の暮らしを支える意味が強いこともあります。
金額だけで機械的に半分を返さず、相手の意向と家族の事情を踏まえて相談しましょう。
品物の予算と、送料などの費用を分ける
手配にかかる総額は、品物の代金だけではありません。
送料、挨拶状の印刷代、カタログギフトのシステム料などが別に必要な場合があります。
リンベルは、カタログギフトのお返し額を考える際、システム料を除いた金額を基準にすることを推奨しています。販売店によって料金表示が異なるため、商品相当額と支払総額の内訳を確認してください。
参考:リンベル「香典返し」
当日返しをした場合、追加のお返しはどう考える?
最初に「会葬御礼」と「香典返し」を分けて確認する
会葬御礼は、参列してくださったことへのお礼です。一方、香典返しは、いただいた香典へのお礼です。
同じ袋に入っていたり、まとめて手配したりするため、混同しやすい部分です。
当日に渡したものを全部まとめて、追加のお返しから差し引かないようにしましょう。
葬儀社の明細で、どの品物が香典返しに当たるか確認するのが確実です。
実務で経験した、当日返しの2つの方法
私が葬儀の現場で扱ってきた当日返しには、主に次の2つの方法がありました。
| 準備の方法 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 返礼品を1種類にそろえる | 受付の負担を抑えやすい。高額の香典には後日追加のお返しを検討する。 |
| 香典額に応じて複数の品物を用意する | 当日に対応できた分、後日の手配を減らせる。 受付で金額の確認と渡し分けが必要。 |
1種類にそろえる場合、私の経験では香典3,000円や5,000円を想定して品物を準備することがありました。
これは返礼品の価格ではなく、いただく香典の額です。
会社関係など多くの方をお呼びする葬儀では、品物を選び分ける手間を減らせる方法だと感じていました。
一方で、高額の香典をいただいた方には、後日追加でお返しをすることが多くありました。
香典額に応じて品物を用意する方法は、参列者が比較的少ない葬儀などで、遺族の後日の負担を減らす選択肢になります。ただし、地域の慣習や受付の人数、用意できる品物によっても対応は変わります。
追加額は「お礼全体の予算−当日返し」で整理する
追加のお返しを考える際は、先にお礼全体の予算を決め、すでに渡した香典返しの分を差し引くと整理しやすくなります。
例:香典10,000円に対し、合計5,000円程度のお返しを考える場合
- お礼全体の予算:5,000円
- 当日に渡した香典返し:2,000円相当
- 後日追加する品物の目安:3,000円程度
これは半返しを選んだ場合の計算例で、全員にこの割合を当てはめるものではありません。
実際の品物や地域の慣習に合わせ、葬儀社・贈答店と確認しましょう。
誰に何を渡したか分からないときは、受付担当者の記録と葬儀社の明細を照合してください。
確認できないまま全員へ追加注文するより、まず記録を整理することが大切です。
香典返しの品物は、相手が受け取りやすいものを選ぶ
定番だけで決めず、人数・好み・保管のしやすさを見る
お茶、海苔、お菓子、タオルなどは候補になります。ただし、「定番だから誰にでも喜ばれる」とは限りません。
相手の家族構成や普段の暮らしから考えてみましょう。
| 品物の候補 | 選ぶときの確認点 |
|---|---|
| お茶・コーヒー・海苔 | 好みや飲食習慣に合うか。使い切りやすい量か。 |
| お菓子 | 人数に合う量か。個包装、賞味期限、アレルギー表示を確認。 |
| タオルなどの日用品 | かさばりすぎないか。日常で使いやすいサイズや色か。 |
| カタログギフト | 選べる内容、申込期限、はがき・電話などの申込方法を確認。 |
一人暮らしの方へ大容量の食品を送るより、小分けで日持ちするもののほうが扱いやすい場合があります。
反対に、人数の多い家庭では分けやすさも選ぶ基準になります。
供養に関わる贈り物の考え方は、感謝を伝える贈り物の選び方(法要・お供え編)でも紹介しています。
香典返しとは贈る目的が異なるため、用途は分けて確認してください。

カタログギフトは「選べる便利さ」と「申込の手間」の両方を見る
相手に品物を選んでもらえるカタログギフトは、好みが分からないときの候補になります。
一方で、届いた後に商品を選び、申し込む必要があります。
スマートフォンでの申込に慣れていない方には、紙のカタログや申込はがきがあるかも確認したいところです。
年齢だけで決めず、その方が普段使っている方法に合わせましょう。
注文前には、次の点を確認しておくと安心です。
- 商品相当額とシステム料の内訳
- 選べる商品の内容と申込期限
- はがき・電話・インターネットなどの申込方法
- 弔事用の包装、かけ紙、挨拶状への対応
- 送料と、希望日までに届くか
商品価格だけを比べず、お礼を届けるまでの総額と、相手が使いやすいかを合わせて判断してください。

贈答の仕事では、贈り先と品物の組み合わせを間違えないよう、
何重にも確認しながら準備しています。
実は、品物の種類が増えるほど確認する組み合わせも増えるので、
準備する側はなかなか大変です。相手に合わせて選ばれた品物だからこそ、
きちんと届けられるよう、リストと照らし合わせて一つずつ確認しています。
かけ紙と挨拶状は、宗教・地域に合わせて整える
「のし付き」ではなく、弔事用のかけ紙を指定する
香典返しを注文するときは、販売店に「香典返し用」と用途を伝えましょう。
一般に「のし紙」と呼ぶこともありますが、弔事ではお祝い用の熨斗飾りがないかけ紙を使います。
表書きには「志」などが使われ、地域によって「満中陰志」、神式などでは「偲び草」とする場合もあります。
水引の色や名前の入れ方も、地域・宗教に合わせて確認してください。
言葉の違いから確認したい方は、のしとは?意味・水引・内のし外のしの違いも参考にしてください。
挨拶状には、お礼と状況に合った報告を入れる
挨拶状は、香典をいただいたことへの感謝と、品物をお届けする趣旨を伝えるものです。
仏式の忌明け後であれば、法要を終えた報告も添えます。
例えば、次は仏式で忌明けの法要を終えた後に使う、短い文面の一例です。
さて先般 亡〇 〇〇儀 に対し
心温まるお心づかいを賜り誠に有難く御礼申し上げます
お陰をもちましてこの度 忌明法要を相済ませることができました
ここに故人生前中のご厚情を深く感謝申し上げますとともに
今後も一層のご厚誼の程お願い申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるのが本意でございますが
略儀失礼ながら書中を以って御礼方々ご挨拶申し上げます
令和〇年〇月
喪主氏名
故人との続柄や名前は実際の内容に替えてください。法要前や他の宗教では、そのまま使わず文面を調整します。
注文前には、氏名・日付・宗教に合う表現を確認しましょう。
宗教別の文例は、三越伊勢丹「香典返し・返礼挨拶状の書き方と文例集」でも確認できます。
香典返しで迷いやすいケース
香典返しを辞退されたら、品物を送らなくてもよい?
辞退する意向が明確な場合は、その気持ちを尊重して考えましょう。
品物を送らない場合でも、電話や手紙などで感謝を伝える方法があります。
「お返しは気にしないで」という言葉が気遣いなのか、明確な辞退なのか迷う場合は、家族と関係性を確認し、
必要に応じて相手へ短く尋ねましょう。
会社や職場の連名でいただいた場合は?
会社の制度として支給された弔慰金と、同僚が個人で出し合った香典は分けて考えます。
会社の規程や職場の慣習があるため、総務担当者や取りまとめ役へ確認してください。
連名の総額だけで個人向けのお返しを決めず、人数や一人当たりの金額、返礼辞退の申し合わせがあるかを確認すると整理しやすくなります。
予定していた時期を過ぎてしまったら?
遅れたからといって、そのままにする必要はありません。
準備が整い次第、お礼と遅くなったことへのひと言を添えて届けましょう。
長い事情説明より、感謝を丁寧に伝えることを大切にしてください。
香典返しと法要の引き出物は、同じもの?
香典返しはいただいた香典へのお礼、法要の引き出物は法要に参列してくださった方へのお礼で、目的が異なります。四十九日にまとめて渡す場合でも、誰に何のお礼をするのかを分けて整理しましょう。
両方を手配する予定なら、品物や金額が重複しないよう、贈答店に「香典返しと法要のお礼を一緒に相談したい」と伝えると話が進めやすくなります。
香典返しは、記録を確認して無理のないお礼を
香典返しは、形式を守るためだけの作業ではありません。
故人や家族を気にかけてくださった方へ、感謝を届ける機会です。
時期と金額には目安がありますが、地域や家庭の事情によって対応は変わります。
当日返しをした場合は、その分を含めてお礼全体を考えましょう。
まずは香典帳に「当日渡した品物」と「後日のお返しの要否」を書き加えるところから始めてみてください。
必要な手配が見えれば、品物選びも進めやすくなります。
迷う点は一人で抱え込まず、家族や葬儀社、贈答店と確認しながら、無理のない形で感謝を伝えていきましょう。

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